沢登りで多用するエイト環グリップビレー(エイト環による支点ビレー)について
@トップは滝を登り終えたら左右の側壁に支点となるような生きた太い立木を探します(立木が無い場合は岩の塊を利用しますが相当大きくてぜったいに動かない岩でなければなりません。岩の塊も無い場合はハーケンを打ちますが別々のリスに打った良く効いているハーケンを二本以上連結して下さい)。
@立木に太いスリングを巻いて安全環つきカラビナをかけ、エイトノットプラス止め結びでメインロープをフィックスします。
*メインロープをトップのハーネスにきちんと正式に結んでおくと、それをほどくのに時間がかかります。激しい墜落が予想されない場合は、滝を登る前からメインロープをハーネスの安全環つきカラビナにエイトノットプラス止め結びで連結(いわゆる簡易ガケ)しておくと手早くフィックス出来ます。簡易ガケによる連結は安全環付カラビナ一枚のみでなくて、反対方向にゲートを向けた普通カラビナを追加して万全を期して下さい。
@フィックスしたスリングの回収がめんどうになることが予想される場合は、スリングを用いずメインロープを懸垂下降のように木に回して2本にして下に引きその下でブーリン結び(止め結びを必ず付加)などで固定します。回収の場合は結びをほどいて、懸垂下降のロープの回収のように、ロープの一端(セカンド側)を引けば立木から抜けて来るという仕組みです。
@フィックスしたロープを手すりにして滝の落ち口近くまで行き、そのロープでインクノットを作りハーネスの安全環つきカラビナに連結してセルフビレーをセットします。
*トップが滝を登り終えて、立ち木にメインロープをフィックスした後、そのフィックスしたメインロープを手すりにして滝の落ち口まで行くのが簡単でない場合があります。その場合は立ち木に太いスリングを巻いて安全環つきカラビナをかけたらそのカラビナにメインロープをクリップします。そして、セカンドにビレーしてもらっている状態を保ちながら滝の落ち口までもどります(パーティの人数が3人以下で、後述のロープウェイ方式を使わない場合はこのセカンドにビレーしてもらう方法がベストです)。滝の落ち口に立ったらセカンドから立ち木に向かっているメインロープにインクノットを作りトップのハーネスの安全環つきカラビナに連結してセルフビレーとします。セルフビレーがセット出来てからビレー解除の合図を滝の下に送ります。あるいはフィックスしたメインロープにブルージック結でセルフビレーをセットして、ブルージック結びを動かしながら滝の落ち口に向かう方法もあります。TPOに合せて工夫して下さい。
@セルフビレーのインクノットの上100センチメートルくらいの所にスリングをフリクションヒッチで固定、そのスリングにカラビナをかけてエイト環グリップビレーの支点とします。
*フリクションヒッチがしっかり効いていることを確認して下さい。心配な場合はエイト環グリップビレーの支点はエイトノットやインクノットなどのスライドしない結びを使用して下さい。
@沢登りのスタートの前後はまだ下流域、川幅が広く水量も多いです。半ズボンの裾が濡れちゃうくらいの深さだと、 浮力で体を水流にすくわれてしまいます。肩を組む、上流に杖をつく、ロープを出すなどの方法で対応します。
予想しなかった(ガイドブックや記録に記載されていない)困難な渡渉に出くわすようなら、当日は晴れていても、 前日までの降水量が相当に多かったことを示しています。その後も、水量の多さによる困難な場面に出くわすこ
とが多くなると言えます(一日待って水流が落ち着くのを待つことも必要です)。
徒渉でのロープワーク
・ビレーヤーは川下にいる
・確保器は使わず両手でたぐりよせる
・ビレーヤーより川下に流される前に引き寄せる
肩組みの渡渉
流れと人の進行方向の関係
・杖をついての徒渉
滝 動画1源次郎沢
2セドの沢
3ロープウェイ方式
4お助けヒモ
5アッセンダー方式
6ショルダー
@滝の登攀はリードアンドフォローのロープワークで登ります。
@ロープが短くてロープウェイ方式が使えない場合や登るのが比較的簡単な滝の場合はロープフィックスを使います。セカンド以後はロープフィックスの項で解説するブルージック方式(アッセンダー方式)や流星法方式で登ってもらいラストのみビレーして登ってもらいます。高さが4m以下程度の滝やボルダーにはお助けヒモを使うこともあります。
@ビレー器具はエイト環を使って下さい。垂直やオーバーハングの場合とエイト環が無い場合はHMSカラビナによるハーフマストビレーにして下さい。登攀距離が長くハーフマストビレーだとロープがキンク(クルクル捻じれる)する可能性が高い場合はボディビレー(ハーネスのビレーループにビレー器をセットしてセカンドに正対してビレーする)を行ってください。
@沢ではオートロックするタイプのビレー器具(ルベルソーキューブ、ATCガイド、etc)の使用は不可です(セカンドが墜落するとロックするので、そのロックの解除にかかる何秒又は何分の間、セカンドを水流の中に宙吊りにしてしまう可能性があります(危険です)。
@中間支点を自分で打つ場合も多いです。ハンマー2本、ブレードハーケン4枚、アングルハーケン2枚は表丹沢の沢に行く時でも団体装備として持ちましょう。ハンマーを振るうのが得意でない人はあまり人が多く来ない沢(例:表丹沢・前大沢)に行ってハーケン打ちの練習をするといいでしょう。
@登攀のルートを見つけるのは多くの経験が必要です。先輩が登り出す前に、自分だったらどう登るかシュミレーションをいつもするようにしましょう。
@ハーネスとロープの連結はロープの末端にエイトノット&止め結びで輪を作り安全環付カラビナを介して連結する(いわゆる簡易ガケ)の方が滝を登り終えた後の処理が楽です(簡易ガケによる連結は安全環付カラビナ一枚のみでなくて、反対方向にゲートを向けた普通カラビナを追加して万全を期して下さい)。
@セカンドにはセルフビレーをセットしてもらいましょう。セルフビレーがセット出来ない時はトップの墜落で引きずりこまれない位置に立ってもらいましょう。
@プロテクションをセットしながら登りますが、支点を完全に信用するのは止めて落ちないように登りましょう。ホールドの岩がはがれることも多いので、いきなり体重をかけずに確かめながらそっと持ち、そっと立つようにして下さい。
@いつでもクライムダウンできるような上り方をして下さい(エイヤって登っちゃっうと進退きわまることになります、もし進退きわまったら、遠慮せずに「高巻いて登り上からロープを降ろして!」と頼みましょう)。
@滝を登り終えたら、ビレーポイントをみつけます。太い樹木が一番です。樹木がなければ大きな岩塊を使います。岩塊は直径で1メートル程度の大きさがほしいです。直径数十センチのものだと動かないようにみえて動くことがあるので気をつけて下さい。滝の上で後続するメンバーを引き上げる方法については「岩登りの注意」のページにあるエイト環グリップビレー及びロープウェイ方式の項をごらん下さい。
@人数が多い場合はセカンドはもう一本のロープを引いて登り、滝の上でもう一つのビレーシステムを作ります。リーダーのロープとセカンドのロープを使って、2名が同時に上がります。また、セカンドとサードでその滝より上にある滝にロープを張ってしまうという方法(次から次へと交互にロープを上に上げる)もあるので、TPOに合せて使い分けて下さい。パーティで2番目に歩くのはパーティで一番力の弱い者で良いのですが、そういう人が滝を登る時は3~4番手以後にします(屈強な人が滝の上に多くいる方が、人をごぼう抜きで引き上げたり、もう一本ロープを張ったりする、など、が出来るようになるからです)。
@スタート地点と終了点の間で声が聞こえない場合や‘手で作る○や×等’の合図が見えない場合が多々あるので十分に打ち合わせしてから行動を開始すること。
ロープウェイ方式 ロープウェイ方式の動画
@登る滝の高さの2倍以上のロープの長さが必要です。40mの滝なら50mロープ2本をつなぎます(つなぎ方はこちらを見て下さい)。滝を登ったリーダーはロープアップをせずにセカンドをビレーする体制になります(体制の作り方はこちらを見て下さい)。滝の下にいる二番手はロープの中間にエイトノットを作りハーネスと連結します。三番手は二番手が引きずって行くロープを管理します。
@リーダーはエイト環で支点ビレー(=エイト環グリップビレー)をして二番手に滝を登ってもらいます。二番手が滝を登り終えたら、滝の下から、滝の下側に残ったロープを引くと二番手が登って上がってしまったロープを戻すことが出来ます。三番手以下も同じ方法で登ります。上からロープを投げる手間がかからないので、短時間に多くのメンバーを滝の上に上げることが出来ます。この方法をローウェイ方式と名付けています。
@水流の中を行く(シャワークライミングやカマを泳いで突破する等)場合にリーダー側が水流から引き上げるのは難しいけれど、ビレーヤー側に残ったロープを使って水流から引き出すことが出来ます。
@ロープウェイ方式で登るセカンドは中間支点を全て回収しながら登りますが、ロープの流れが中間支点で屈曲する場合は、自分の上のロープにかかるカラビナを自分の下のロープにかけかえる(いわゆる「カケカエ」)をして登り、滝の上に到着したら、ロープの中間に作ったエイトノットを解いてから滝の下の人にロープを引き戻すように指示します。「カケカエ」をしないで、中間支点を全て回収して登った場合はロープの中間に作ったエイトノットは解かずにロープを引き戻すように指示します。
@セカンドが「カケカエ」後の墜落で水流の中に吊られてしまう可能性がある場合はロープワークの不備です。別ルートでの登りに切り替えて下さい。
@ビレー器具はエイト環を使って下さい。垂直やオーバーハングの場合とエイト環が無い場合はHMSカラビナによるハーフマストビレーにして下さい。登攀距離が長くハーフマストビレーだとロープがキンク(クルクル捻じれる)する可能性が高い場合はボディビレー(ハーネスのビレーループにビレー器をセットしてセカンドに正対してビレーする,支点が非常に強力であれば支点折り返しビレーも可)を行ってください。
@沢ではオートロックするタイプのビレー器具(ルベルソーキューブ、ATCガイド、etc)を使用する場合は注意が必要です(セカンドが墜落するとロックするので、そのロックの解除にかかる何秒又は何分の間、セカンドを水流の中に宙吊りにしてしまう可能性があります。危険です)。
@フリクションヒッチ方式orアッセンダー方式という方法があります。30mロープ等短いロープを持って沢に行き、滝の登攀後にロープの上末端を固定、セカンド以後はタイブロック(アッセンダー、両手フリーで登れる)かフリクションヒッチ(フリクションヒッチを引き上げる手間が必要)をその固定ロープにセットして登る方法がよく使われます。複数名が同時に登れるので時間が節約出来るし、なによりロープの重さを軽量化出来て便利です。しかしながら、シャワークライミング中に落ちると水流に溺れてしまう危険があります(フリクションヒッチ方式orアッセンダー方式をシャワークライミングに使うのは危険です)。
支点構築
@ハーケンの穴はカラビナがかけられる十分な大きさがあるが、実際には上右写真のようにハーケンの頭が外に出ていなかったり潰れていたりでカラビナがかかられない場合が少なくない(ヌンチャクは使えない)。
@ハーケンが支点のルートの場合は出来るだけ細いスリングを携行して、ハーケンの穴に通して(写真のようにチョックレンチで引き出すとことも多い)カラビナをかけて支点にする。スリングの強度が落ちるのでハーケンに直接スリングをかけないと言う意見もあるが、強度が落ちても支点がないよりはずっと増しだし、スリングの強度不足よりハーケンが抜けるリスクの方が高い。また、スリング1本とカラビナ1つで支点が出来るのでヌンチャクより軽く出来る(多用途でもある)。
@ハーケンが途中までしか打ち込まれていない場合は根本にタイオフして支点とする。
@細い枝にフリクションヒッチをセットして支点とする。
<腰引きコンテニアス>
@バランスが不安でスピードが遅いンバーAがいる場合に有効です。さしたる悪場でない(藪こぎや緩傾斜のザレ場程度)場合に10~20mの間隔をあけてロープで繋がり(きっちり固定:ハーネスのビレーループに連結するのがベスト)、メンバーAを腰で引っ張りながら行動すると良いです。その際、トップもメンバーAも手にロープの輪は持ちません(余ったロープはコイルにして肩に巻くかザックにしまう)。ロープを引っ張るトップの消耗が大きいので、熟達者が複数名いれば適宜交代すると良いでしょう。
<2メートルコンテニアス>
@ガイドが行うショートロープという方法があります。ガイドはロープの輪を持ってお客さんとの距離を2mほどに保ちながらそしてお客さんを少し引きながら歩きます(登り下り共ガイドはお客さんの上に位置します。お客さんはロープの輪を持ちません)。トラバースの場合は有効ではないので、ガイドがお客さんのハーネスの腰の位置をガッチリ持って歩くなど別の方法を使います。悪場にさしかかった場合、ガイドは、手に持ったロープの輪を離し、お客さんを待たせて、その悪場を通過してしまいます。悪場通過後にお客さんをビレーして同所を通過させます。
@ガイドでない方が使う場合は、負傷するなどしてコースタイムの1.5倍くらいのゆっくりペースで歩くメンバーを補助して歩く時に使うのが良いです。歩くスピードがコースタイムに近くなります(他のメンバーが寒くなってしまうのを防ぐ効果もあります)。ロープよりはスリングを用いる方が操作性が良いです。120cmスリングと60cmスリングを足した長さくらいがアイゼン蹴ったり蹴られたりすることを防げます。
<スタッカットクライミングとの組み合わせ>
@コンテニアスクライミングの反対がスタッカットクライミングです。スタッカットクライミングとは「リードアンドフォローのロープワークを使って登る」や「ロープをフィックスして登る」などがあります。
@コンテニアスで歩ける安全地帯とスタッカトが必要な悪場が交互に現れる場合には、リーダーとサブリーダーでロープを結び合い、10~20メートルコンテニアスのまま安全地帯を歩くことで、ロープをザックに出し入れする時間を短縮出来ます(数人のパーティでロープが1本しかない場合は特に、有効です)。
<氷河で使うコンテニアス(クレバス救助)>
@メンバー同士が、20~25m間隔でロープは手に持たずに張った状態で歩きます。50mロープなら、前後と真ん中に一人で3人程度、2人ならショートロープのセッティングのように、身体に10回ほど巻いてから、ビレーループを通して止め結びをします。ロープを手に持っていると、衝撃を手で受けることになり、ひきずり倒されやすいからです。20~25m間隔が、ロープの伸びや途中の抵抗で転落を止めるのに有利なのですが、実際は、前後の声の届きにくさ、長いロープをきちんと張って歩くこと難しさなどからペースダウンしてしまうので、15mくらいに短くしてしまうことが多いようです。氷河で使うコンテニアスは、氷河のない日本では雪渓や雪稜で使う他に、沢の高巻で真価を発揮します。沢の高巻の場合は樹木が多いので摩擦を避けるために15mよりもう少し短い方が良いです。
<雪上技術の輪どうしコンテニアス>(安全地帯以外では使わない)
@手にループを作っておいて、とっさに握り締めたり、ループににピッケルを刺すコンテニアスクライミングの方法(=輪どうし)があります。
「輪どうし」は使わないで下さい。「輪どうし」でパートナーの滑落を確実に止めることが出来る雪質は無いからです。二人がロープに繋がり、二人がそれぞれ手にループを持って歩くのは、オールシーズン、ロープの運搬の時のみです(確保の技術ではありません)。
流星法
その1、渡渉
◆バランスの良い若者を選んで一番手で行ってもらいます。
◆左岸(川下から見て右)から右岸(川下からみて左)に渡るとして、渡渉点の川上に頑丈な支点(支点A)を見つけます。
◆その支点にロープを固定し、一番手のハーネスの安全環付カラビナをそのロープ上をスライドするようにセットします。
◆ビレーは下流から行い(広い河原が良い)、一番手が流されたらビレーヤーより下流に行ってしまう前にハイスピードでロープをたぐって引き寄せます。もし、ビレーヤーより下流に行ったら人数得を集めて(3人以上?)でごぼう抜きします(2分の1システムの形になっている)。だから増水の川を行く時は人数が必要です。
右岸 ↓流れ↓
◆一番手が渡渉出来たら。一番手は右岸の相当に川下の支点Bまで行きます。ビレーヤーは左岸の支点Aに行きます。
◆一番手とビレーヤーで協力してロープを回転させて、ロープの両末端を左岸から右岸に移動させます(右岸から懸垂下降のロープ回収の要領でロープが回収出来るようにする)。
*この時にもう1本のロープを左岸に届けることが出来ます。
◆一1番手は支点Aと支点Bの間に2本のロープがピンと張られた形でフィックスします。・二番手以後はハーネスの安全環付カラビナをそのロープ上をスライドするようにセットし、上流から下流にスライドするようにして左岸から右岸に渡ります。
*必要に応じて二番手をもう一本のロープでビレーします。二番手が渡ったら滝を登る時のロープウェイ方式の要領で二番手が渡渉を始める時の状態までロープを戻します。
◆全員が渡り終えたら右岸から懸垂下降のロープ回収の要領でロープを回収します。出来るだけ上流に行って回収します(ロープが下流に流され、ひっかかるから)。
その2、荷物の運搬
川の対岸などに多量の荷物を渡す場合・・・張り渡したロープにカラビナをかけ荷物をつ
るします。さらに補助ロープを先のカラビナの左からと右から結び双方向に動かせるように
して荷物を運びます。
その3、軽い荷物の運搬
アブミが2台しかなくて、トップが登った後に使用したアブミをセカンドに送りたい場合・・・
トップは2本のロープを引いて登ります。1本はトップを確保するためのロープでランニングビレーのカラビナに通しながら進みます。もう1本は補助ロープで、ランニングビレーのカラビナに通しません(セカンドと何も介ずダイレクトにつながります)。
アブミのカラビナを補助ロープにかけ、補助ロープを滑らせてセカンドに届けます。その際、補助ロープのたるみを利用して、アブミの滑るスピードを調節します。アブミに限らず小物類はなんでも運搬出来ます。
その4、懸垂下降用ロープの引き寄せ
Aが懸垂下降で滝の下に降り、続いてBが懸垂をしたくても、ロープの方向が変わるので、懸垂用のロープに簡単に近付けなくなることが予想される場合・・・
Aが懸垂する前に補助ロープ(orスリング)とカラビナを懸垂用のロープにかけておきます。
Aは滝の下に下り、「前進出来るか」と「ロープの回収が出来るか」の確認をしてから、Bにオーケーを出します。
Bは補助ロープを引いて懸垂ロープを引き寄せることが出来ます。補助ロープは最後に懸垂する者が回収します。
その5、ロープフィックス時における流星法方式
トラバースするようなルートであればブルージック結びでなくてカラビナをロープにかけてそれを腰のハーネスとスリングで連結し、ロープの通ったカラビナを引きずりながら、中間支点の所でカラビナをかけかえながら前進します(流星法方式)。
流星法方式の際にハーネスとロープをウサギの耳のように二本のスリングで連結して中間支点の所でカラビナを一つづつ掛け替えるとさら安全度が高まります(ラビット方式orフェラータ)。墜落すると水流の中に吊られそうな場合には腰のハーネスと連結するスリングは短いもの(60cm以下)にしておくなどの工夫が必要です。
最後の人(ラスト)はロープの末端と自分のハーネスを連結し、終了点の人の「ロープアップ」を待ちます。ロープが一杯になったら、終了点の人にビレーしてもらいながら、中間支点を回収(フォロー)しながら登ります。トラバースルートを行く場合、トップとラストでは落ちた時にロープに吊られる方向が異なるので、それを充分に計算して通過しなければなりません。
オポジションのセット
ガースヒッチ(タイオフ)とハーフマストヒッチとフリクションヒッチを組み合わせて、オポジションをセットします。ビレーポイントを作る場合など両手がフリーになる場合は荷作りをする時などに使う普通のコマ結びを使うと頑丈です。オポジションは支点間を引き締める方向に引けるので、ナッツやキャメロットなどのカムデバイスだけでなく、わずかな凹部しかない岩の突起にスリングをかけで支点を作る時にも有効です。
3分の1吊り上げシステム応用オポジション
くわしくはこちらをごらん下さい。
ガースヒッチ応用オポジション
1、スリングの末端を
2、スリングの間を割って通し
3、続いてカラビナに通し
4、引き締めるとガッチリでは
ないがなんとか固定される。
右側の支点に2倍近い負担
がかかる問題がある。
5、スリングの末端が長く余って
いて、ロープ操作が容易な環
境であれば、行って返って(カ
ラビナリリーシングヒッチ)を施
したり、ハーフマストヒッチを繰
り返し施したりして強めに固定
する。
↑行って返って
↑ハーフマスト
コマ結び応用オポジション
まずはオポジションの完成形です。スリングの両末端に(片末端だとスリップドヒッチに変形してしまう)にカラビナをかけています。
*下の小さい方のナッツは岩への接点が不足しています。小さいナッツほど摩擦面が小さくなって外れやすいことを知っていて下さい。
上のナッツを下向きにセットします。つのナッツだけだとクライマーが上に登るに連れて外れてしまう可能性があります。
*この写真は左2点右1点が岩に接して正しくナッツがセット出来ています。
そこで、2つ目のナッツを1つ目の下で上向きにセットします。
*この写真は左1点右1点が岩に接していて接点不足で好ましくないセットです。
荷造りをする時などに使う普通のコマ結びできっちりしばります。靴紐の縛り方等を使いテンションがかかってもほどきやすくするとベターです。
横方向にナッツをかけてオポジションをセットした例です。右上方向に登ると良いです。
*右上方向に登る場合は写真のカラビナの向きは正しくないので、ゲートが左向きになるようにかけなおすこと!