(1)サブリーダーの動き
滝の上と下では声が聞こえないのがあたりまえ、滝の下にいて、他のメンバーの様子が把握出来るサブリーダーがロープウェイ方式のロープワークでは重要な位置にあります。サブリーダーはロープウェイ方式を理解していて、適切に他のメンバーを補助する必要があります。
①リーダーが滝を登る時のビレイを行います。
リーダーが墜落すると滝の壁に激突したり、滝壺に引き擦りこまれるので、ビレイヤー(サブリーダー)の背中側からセルフビレイをセットして僅かにテンションをかけて立ち、それを防ぎます。リーダーが登れば石が落ちて来る可能性が高いので、落石に当たらない位置でビレイしなければなりません。

②2番の人が登る時に補助をします。
メインロープにインラインノットを結んで2番の人のハーネスに連結します。インラインノットはバタフライが良いのですが、バタフライが作れない場合はエイトノットでも可です。

2番の人が登るとロープが足りなくなる可能性があります。ロープの末端が上がって行ってしまう前に補助ロープを継ぎ足します(結びはオーバーハンドノットが良い)。

例えば20mの滝で、滝の上で15m使ってしまうと5m足りなくなります。

2番に登る人に中間支点を残すが回収するかの指示を出します。

下図の右で上から2番目の支点を回収してしまうと、墜落で左に大きく振られてしまいます。

下図のXがYより長くなる場合はその支点の所での掛け替えは出来ません(支点は回収する)。その理由は「補助ロープと赤ロープの結び目が中間支点のカラビナを通過出来ないから」です。どうしても掛け替えが必要な場合はリード&コンテ放式に切り替えます。

クライマーが水流に吊られたら引き出します。

③ロープを引きもどし、3番の人が登るのを補助します。


④ロープを引き戻し、ラストから2番目(ラスマイ)の人が登るのを補助します。

ラスマイの人は上に登ったらインラインノットをほどきます。
ラスマイの人が登った後はロープは引き戻しません。
⑤ロープを引き戻さないで、ラストに登ります(サブリーダーはラスト)。

上からのロープにインラインノットを結ぶ。

余りのロープをザックに入れる(少しでもロープを濡らさない)。

*ロープは厚手のビニール袋に入れて持ち歩く。

サブリーダーは最後に滝を登る。中間支点など残っているものがあれば回収する。
(2)リーダーの動き
*この項上から3番目の動画(詳細解説【滝登りピストン方式】)をみて下さい。
①滝を登ったリーダーはロープアップをせずにセカンドをビレーする体制になります(体制の作り方はこちらを見て下さい)。
②リーダーはエイト環で支点ビレー(=エイト環グリップビレー)をして二番手に滝を登らせます。
③リーダーが水の流れの上に立っている場合は引き上げたロープをセルフビレイに振り分けて乗せて、水に流されてしまわないようにします。水の流れの上に立っていなければ、引き上げたロープを地面に置いてもOKです。
③二番手が滝を登り終えたら、ビレイ解除して、滝の下のサブリーダーに、滝の下側に残ったロープを引いてもらい、二番手が登って上がってしまったロープを下に戻します。
④三番手以下も同じ方法で登らせます(②~③をくりかえす)。
*上からロープを投げる手間がかからないので、短時間に多くのメンバーを滝の上に上げることが出来ます。この方法はローウェイ方式(ピストン方式)式と名付けられています。


(3)補足事項
①ビレー器具はエイト環を使って下さい。垂直やオーバーハングの場合とエイト環が無い場合はHMSカラビナによるハーフマストビレーにして下さい。登攀距離が長くハーフマストビレーだとロープがキンク(クルクル捻じれる)する可能性が高い場合はボディビレー(ハーネスのビレーループにビレー器をセットしてセカンドに正対してビレーする,支点が非常に強力であれば支点折り返しビレーも可)を行ってください。
②沢ではオートロックするタイプのビレー器具(ルベルソーキューブ、ATCガイド、etc)を使用する場合は注意が必要です(セカンドが墜落するとロックするので、そのロックの解除にかかる何秒又は何分の間、セカンドを水流の中に宙吊りにしてしまう可能性があります。危険です)。
③アッセンダー方式という方法があります。30mロープ等短いロープを持って沢に行き、滝の登攀後にロープの上末端を固定、セカンド以後はタイブロック(アッセンダー、両手フリーで登れる)かフリクションヒッチ(フリクションヒッチを引き上げる手間が必要)をその固定ロープにセットして登る方法がよく使われます。複数名が同時に登れるので時間が節約出来るし、なによりロープの重さを軽量化出来て便利です。しかしながら、シャワークライミング中に落ちると水流に溺れてしまう危険があります(アッセンダー方式をシャワークライミングに使うのは危険です)。
リード&コンテ方式
└6分
リード&コンンテ方式(別名:リード&コンテ&フォロー方式)は、3人が1本ロープの両末端と中央につながって岩登りをする方式(Three-person
Rope Team)に似ています。Three-person Rope Teamの場合、中央の人(中間者Middleman)は中間支点をかけかえながら登ります。
岩登りでは4人以上で1本のロープに繋がることはほとんどありませんが、沢登りでは、持って行けるロープの本数が限られるので、滝の高さによっては1本に4人とか5人が繋がって登ることもあり得ます。普通のリードアンドフォローで2人登って、3人目は上からロープを投げれば良いと考えがちですが、屈曲、水流、藪、テラスなどがあってロープを投げても下に届けることが出来ません。
そこで、例えば10mの滝を12.5m間隔で5人がつながって登ると、コンテニアスクライミング(サイマルクライミング)になりますが、なんとなりそうです。でも、コンテニアスクライミング状態でリードで登る1番の負担が大きすぎます。
改良して、10mの滝を12.5m間隔で5人がつながるのでなくて、1番と2番の間を滝の高さより十分に長くして、2番から5番までをコンテニアスにすれば、1番がリードで登る時の安全度を高めることが出来ます。例えば、ロープを2本にして、1番と2番の間を50m、2番から5番までは16.6m間隔で繋がりますと、1番は普通のリード、2番から4番までは中間者(Middleman)になってコンテニアスクライミング、5番は支点を回収するフォロワー、という形で登れます。
滝を登るこのロープワークシステムを登山教室Timtamでは「リード&コンンテ&フォロー方式」と名付けています。理解しやすく、水流と屈曲するコースに強く、ロープが2本あれば5人以上でもOKなので、登りのロープワークとして広く普及したいです。
リード&コンンテ方式で、滝の上でビレイするロープの入れ替えについて
20mの滝を16m間隔で繋がった2番と3番の場合(コンテニアスクライミングになってしまった場合)は、3番が滝の途中にいる時に、1番は2番のビレイから3番のビレイに切り替えなければなりません。その方法は以下です。
(1)滝の上に出た2番は頑丈な支点にセルフビレイをセットします。その状態で、1番は2番のビレイから3番のビレイに切り替えます。切り替えている時は2番が3番の安全を保っている状態になります。3番はロープが上に引かれるまで、滝の途中で待ちます(10mの滝を16m間隔で登る場合も以下の手順(①~⑥)を使います)。
①エイト環の小さい輪を環付カラビナからはずして、大きい輪を環付カラビナにかける。
②赤ロープをエイト環からはずし、青ロープをかける。
③エイト環の小さい輪を環付カラビナにかけてロック。
④1番のセルフに振り分けて乗せてある赤ロープの束を、まとめてバサンと2番に渡す。
⑤1番は3番のビレイを開始する。
⑥2番は赤ロープの整理をする。
(2)3番を上に引くテンションを少しも緩めることが出来ない場合には、1番は2番のビレイから3番のビレイに切り替えることが出来ません。その場合
①2番は滝の上に出てからもさらに先に進み続けます(3番へのテンションを緩めずに進み続けます)。
②1番は2番のロープを出しながら2番のビレイを続けます。
③「2番が腰で引っ張るの」と滝の落ち口の「ロープの屈曲部分の摩擦」とで3番はビレイされている状態になります。
④20m滝なら2番が4m進めば3番は滝の上まで登れます。
@沢登りのスタートの前後はまだ下流域、川幅が広く水量も多いです。半ズボンの裾が濡れちゃうくらいの深さだと、 浮力で体を水流にすくわれてしまいます。肩を組む、上流に杖をつく、ロープを出すなどの方法で対応します。
予想しなかった(ガイドブックや記録に記載されていない)困難な渡渉に出くわすようなら、当日は晴れていても、 前日までの降水量が相当に多かったことを示しています。その後も、水量の多さによる困難な場面に出くわすこ
とが多くなると言えます(一日待って水流が落ち着くのを待つことも必要です)。

徒渉でのロープワーク
・ビレーヤーは川下にいる
・確保器は使わず両手でたぐりよせる
・ビレーヤーより川下に流される前に引き寄せる

肩組みの渡渉

流れと人の進行方向の関係

・杖をついての徒渉


滝
滝登りの学習コース
沢登り技術紀行再生リスト
@滝は上の1~5の方式を使い分けて登攀します。基本になるのは岩登りのリードアンドフォローのロープワークです。でも、岩登りにない、水流の影響、1本のロープで登る人数が多い、屈曲するルート、灌木やハーケンやカムなどの多様な支点、水流から離れるほど岩が脆くなる、滝の上のビレイポイントの作り方が、支点だけでも4種(樹木,大岩,人間の体,複数のハーケンorボルト)あって複雑、などなどで、習得には多くの経験が必要です。
@ビレー器具はエイト環を使って下さい。エイト環はリードのビレイではローフリクションモード(微妙なダイナミックビレイ)として働きますから、滝の途中で打たれたハーケンやカムや細い灌木などの脆弱な支点を守ります。滝の上からセカンドをビレイする場合はセカンドを引き上げるだけでなく、セカンドが水流の中に吊られた場合に速やかにロワーダウンさせることが出来ます(エイト環の不足する制動力は、滝の落ち口でロープが屈曲するので、その部分の摩擦で補えます)。
@エイト環が無い場合はHMSカラビナによるハーフマストビレー(ムンターヒッチビレイ)にして下さい。登攀距離が長くハーフマストビレーだとロープがキンク(クルクル捻じれる)する可能性が高い場合はボディビレー(ハーネスのビレーループにビレー器をセットしてセカンドに正対してビレーする)を行ってください。
@沢ではオートロックするタイプのビレー器具(ルベルソーキューブ、ATCガイド、etc)の使用については考える必要があります(セカンドが墜落するとロックするので、そのロックの解除にかかる何秒又は何分の間、セカンドを水流の中に宙吊りにしてしまう可能性があって危険だからです。DMMのピボットなら、ビレイ器を吊るす穴(メタルアイ)部分が曲がる構造なので、ロックの解除が簡単に出来るので、エイト環はドウモと考える人はDMMのピボットかそれと同じ構造を持つビレイ器を使うようにして下さい。
@中間支点を自分で打つ場合も多いです。ハンマー2本、ブレードハーケン4枚、アングルハーケン2枚は表丹沢の沢に行く時でも団体装備として持ちましょう。ハンマーを振るうのが得意でない人はあまり人が多く来ない沢(例:表丹沢・前大沢)に行ってハーケン打ちの練習をするといいでしょう。キャメロットの1番と0.5番を追加するとハーケンの打てない広いクラックに対応出来ます。それ以上に広いクラックだと灌木が生えているので、キャメロットの2番以上はなくても良いでしょう。
@登攀のルートを見つけるのは多くの経験が必要です。先輩が登り出す前に、自分だったらどう登るかシュミレーションをいつもするようにしましょう。
@ハーネスとロープの連結はロープの末端にエイトノット&止め結びで輪を作り安全環付カラビナ(片手で操作しやすいネジ式の環付カラビナが良い)を介して連結する方が滝を登り終えた後の処理が楽です(カラビナによる連結は安全環付カラビナ一枚のみでなくて、反対方向にゲートを向けた普通カラビナを追加して万全を期して下さい)。
@セカンドにはセルフビレーをセットしてもらいましょう。セルフビレーがセット出来ない時はトップの墜落で引きずりこまれない位置に立ってもらいましょう。
@プロテクションをセットしながら登りますが、支点を完全に信用するのは止めて落ちないように登りましょう。ホールドの岩がはがれることも多いので、いきなり体重をかけずに確かめながらそっと持ち、そっと立つようにして下さい。
@いつでもクライムダウンできるような上り方をして下さい(エイヤって登っちゃっうと進退きわまることになります、もし進退きわまったら、遠慮せずに「高巻いて登り上からロープを降ろして!」と頼みましょう)。
@滝を登り終えたら、ビレーポイントをみつけます。太い樹木が一番です。樹木がなければ大きな岩塊を使います。岩塊は直径で1メートル程度の大きさがほしいです。直径数十センチのものだと動かないようにみえて動くことがあるので気をつけて下さい。滝の上で後続するメンバーを引き上げる方法についてはこの項の始めまたはここのページの一番上にある滝登りの動画集をごらん下さい。
@人数が多い(6人以上もいる)場合はセカンドはもう一本のロープを引いて登り、滝の上でもう一つのビレーシステムを作り、2名を同時に上げる方法があります(落石に当たらないように2名の間隔は短く1mくらい)。やさしい滝で、落石の危険が少ない場合は、アセンダー方式が使えます。
@パーティで2番目に歩くのはパーティで一番力の弱い者で良いのですが、そういう人が滝を登る時は3~4番手以後にします(屈強な人が滝の上に多くいる方が、人をごぼう抜きで引き上げたり、もう一本ロープを張ったりする、など、が出来るようになるからです)。
@スタート地点と終了点の間で声が聞こえない場合や‘手で作る○や×等’の合図が見えない場合が多々あるので十分に打ち合わせしてから行動を開始すること。
@撤退を考えてロープは50m2本、捨て縄6mm15mは標準装備です。
@滝の途中で撤退する場合はこちらの動画を参照して下さい。

支点構築
支点の動画30選集(YTubeの再生リスト) が作ってありますので繰り返しご覧下さい。支点構築はロープワークの土台です(これなくしてロープワークは成り立ちません)。多く学び、多く検証しながら、確実な知識と技術をして身につけるようにして下さい。

@ハーケンの穴はカラビナがかけられる十分な大きさがあるが、実際には上右写真のようにハーケンの頭が外に出ていなかったり潰れていたりでカラビナがかかられない場合が少なくない(ヌンチャクは使えない)。


@ハーケンが支点のルートの場合は出来るだけ細いスリングを携行して、ハーケンの穴に通して(写真のようにチョックレンチで引き出すとことも多い)カラビナをかけて支点にする。スリングの強度が落ちるのでハーケンに直接スリングをかけないと言う意見もあるが、強度が落ちても支点がないよりはずっと増しだし、スリングの強度不足よりハーケンが抜けるリスクの方が高い。また、スリング1本とカラビナ1つで支点が出来るのでヌンチャクより軽く出来る(多用途でもある)。
@ハーケンが途中までしか打ち込まれていない場合は根本にタイオフして支点とする。

@細い枝にフリクションヒッチをセットして支点とする。
└Ytube3分
@細い樹木だったら数本を連結する。一本づつ根元にスリングをタイオフしてカラビナをかけ、そのカラビナを数個、ロープで連結(クラブヒッチを使用)する。
@クマ笹数本の根元をブルージック結びで束ねる。
@生きた樹木(大きく力をかけても抜けない太いやつ)の根元にスリングをタイオフ(一回巻きのブルージック結び)する。
@岩角やチョックストーンにスリングをタイオフする。
@大きな丸石(本気で動かそうとしても動かない重たい石)にスリングをタイオフする。
@ハーケンを打つ。
└Ytube1分
└Ytube30秒
@ボルトを打つ。
@チョックやフレンズをセットする。筋力や釘打ちの経験が少なくてハーケンを上手に打てない人は、チョックやフレンズについて研究しても良いかも知れません(でも、筆者はハーケンの方を信頼しています)。
@雪の中にスリングを結んだ棒切れを埋める(棒切れがなければスタッフバックに雪をつめたもので代用出来ます)。
@プロテクションに関連する言葉は多いです。以下なんのことだかわかりますか?
「ランニングビレー」「ネイリング」「カムデバイス」「リングボルト」「RCCボルト」「ハンガーボルト」「ハーケンとアングルハーケン」「コパトーン」「ラープ」「エイリアン」「スライーダー」「キャメロット」「ナッツ」「ヘキセントリック」「デッドマン」「ポラード」「芯抜きスリング」「クイックドロー」「ヌンチャク」「クリップ」「ピン」「支点」「NP:ナチプロ」などなど。
@信頼出来ないプロテクションは「小指くらいの太さの樹木にタイオフしたスリング」、「ボコボコ言う浮いた岩に打ったハーケン(ハーケンの頭をハンマーで叩いてもカンカンという金属音がしないやつ)」、「同じリスに打ち込まれた二本のハーケンの内初めに打ち込まれた方」、「根元まで深く打ち込まれていて効いているように見えるリングボルト」、「草付の草を束ねたやつ」・・・などなど、でしょうか。そういう信頼出来ないプロテクションを頼りにして登らなくてはならない場合があります。
「ホールドやスタンスには確かめてから力をかけるくせをつけること。」
「レストステップで登ること。」
「落ちない登り方に徹すること。」
「クライムダウン出来る登り方をすること。」
*レストステップ(静加重静移動)=重荷を背負って歩くときやゴロゴロした岩場や滑りやすい不整地を歩くとき、人(ヒト)は自動的に確かめてから力をかけます。つまり「・・・歩幅せまく足を出し、滑らないか崩れないか確かめながらその足にそっと加重し、加重しながら全体重を出した足の真上に移動して、その足一本で立ち上がり、それから後ろにあった足を持ち上げ歩幅せまく前に出し、滑らないか崩れないか確かめながらその足にそっと加重し、加重しながら全体重を出した足の真上に移動して、小さく勢いをつけて(=よいしょ!)その足の真上に立ち上がり、以下くりかえし・・・。」という歩き方をするのです。この歩き方は安定して歩けるだけでなく石を落とすことも少なくて基本の山の歩き方と言えます。

@トップは滝を登り終えたら左右の側壁に支点となるような生きた太い立木を探します(立木が無い場合は岩の塊を利用しますが相当大きくてぜったいに動かない岩でなければなりません。岩の塊も無い場合はハーケンを打ちますが別々のリスに打った良く効いているハーケンを二本以上連結して下さい,ハーケンが打てない場合は窪地に座り込んで腰がらみでビレイして下さい(この項始めにある動画参照)。
@立木に太いスリングを巻いて安全環つきカラビナをかけ、エイトノットプラス止め結びでメインロープをフィックスします。
*メインロープをトップのハーネスにきちんと正式に結んでおくと、それをほどくのに時間がかかります。激しい墜落が予想されない場合は、滝を登る前からメインロープをハーネスの安全環つきカラビナにエイトノットプラス止め結びで連結(いわゆる簡易ガケ)しておくと手早くフィックス出来ます。簡易ガケによる連結は安全環付カラビナ一枚のみでなくて、反対方向にゲートを向けた普通カラビナを追加して万全を期して下さい。
@フィックスしたスリングの回収がめんどうになることが予想される場合は、スリングを用いずメインロープを懸垂下降のように木に回して2本にして下に引きその下でブーリン結び(止め結びを必ず付加)などで固定します。回収の場合は結びをほどいて、懸垂下降のロープの回収のように、ロープの一端(セカンド側)を引けば立木から抜けて来るという仕組みです。
@フィックスしたロープを手すりにして滝の落ち口近くまで行き、そのロープでインクノットを作りハーネスの安全環つきカラビナに連結してセルフビレーをセットします。
*トップが滝を登り終えて、立ち木にメインロープをフィックスした後、そのフィックスしたメインロープを手すりにして滝の落ち口まで行くのが簡単でない場合があります。その場合は立ち木に太いスリングを巻いて安全環つきカラビナをかけたらそのカラビナにメインロープをクリップします。そして、セカンドにビレーしてもらっている状態を保ちながら滝の落ち口までもどります(パーティの人数が3人以下で、後述のロープウェイ方式を使わない場合はこのセカンドにビレーしてもらう方法がベストです)。滝の落ち口に立ったらセカンドから立ち木に向かっているメインロープにインクノットを作りトップのハーネスの安全環つきカラビナに連結してセルフビレーとします。セルフビレーがセット出来てからビレー解除の合図を滝の下に送ります。あるいはフィックスしたメインロープにブルージック結でセルフビレーをセットして、ブルージック結びを動かしながら滝の落ち口に向かう方法もあります。TPOに合せて工夫して下さい。
@セルフビレーのインクノットの上100センチメートルくらいの所にスリングをフリクションヒッチで固定、そのスリングにカラビナをかけてエイト環グリップビレーの支点とします。
*フリクションヒッチがしっかり効いていることを確認して下さい。心配な場合はエイト環グリップビレーの支点はエイトノットやインクノットなどのスライドしない結びを使用して下さい。










<腰引きコンテニアス>
@バランスが不安でスピードが遅いンバーAがいる場合に有効です。さしたる悪場でない(藪こぎや緩傾斜のザレ場程度)場合に10~20mの間隔をあけてロープで繋がり(きっちり固定:ハーネスのビレーループに連結するのがベスト)、メンバーAを腰で引っ張りながら行動すると良いです。その際、トップもメンバーAも手にロープの輪は持ちません(余ったロープはコイルにして肩に巻くかザックにしまう)。ロープを引っ張るトップの消耗が大きいので、熟達者が複数名いれば適宜交代すると良いでしょう。
<2メートルコンテニアス>

@ガイドが行うショートロープという方法があります。ガイドはロープの輪を持ってお客さんとの距離を2mほどに保ちながらそしてお客さんを少し引きながら歩きます(登り下り共ガイドはお客さんの上に位置します。お客さんはロープの輪を持ちません)。トラバースの場合は有効ではないので、ガイドがお客さんのハーネスの腰の位置をガッチリ持って歩くなど別の方法を使います。悪場にさしかかった場合、ガイドは、手に持ったロープの輪を離し、お客さんを待たせて、その悪場を通過してしまいます。悪場通過後にお客さんをビレーして同所を通過させます。

@ガイドでない方が使う場合は、負傷するなどしてコースタイムの1.5倍くらいのゆっくりペースで歩くメンバーを補助して歩く時に使うのが良いです。歩くスピードがコースタイムに近くなります(他のメンバーが寒くなってしまうのを防ぐ効果もあります)。ロープよりはスリングを用いる方が操作性が良いです。120cmスリングと60cmスリングを足した長さくらいがアイゼン蹴ったり蹴られたりすることを防げます。


<スタッカットクライミングとの組み合わせ>
@コンテニアスクライミングの反対がスタッカットクライミングです。スタッカットクライミングとは「リードアンドフォローのロープワークを使って登る」や「ロープをフィックスして登る」などがあります。
@コンテニアスで歩ける安全地帯とスタッカトが必要な悪場が交互に現れる場合には、リーダーとサブリーダーでロープを結び合い、10~20メートルコンテニアスのまま安全地帯を歩くことで、ロープをザックに出し入れする時間を短縮出来ます(数人のパーティでロープが1本しかない場合は特に、有効です)。
<氷河で使うコンテニアス(クレバス救助)>
@メンバー同士が、20~25m間隔でロープは手に持たずに張った状態で歩きます。50mロープなら、前後と真ん中に一人で3人程度、2人ならショートロープのセッティングのように、身体に10回ほど巻いてから、ビレーループを通して止め結びをします。ロープを手に持っていると、衝撃を手で受けることになり、ひきずり倒されやすいからです。20~25m間隔が、ロープの伸びや途中の抵抗で転落を止めるのに有利なのですが、実際は、前後の声の届きにくさ、長いロープをきちんと張って歩くこと難しさなどからペースダウンしてしまうので、15mくらいに短くしてしまうことが多いようです。氷河で使うコンテニアスは、氷河のない日本では雪渓や雪稜で使う他に、沢の高巻で真価を発揮します。沢の高巻の場合は樹木が多いので摩擦を避けるために15mよりもう少し短い方が良いです。
<雪上技術の輪どうしコンテニアス>(安全地帯以外では使わない)
@手にループを作っておいて、とっさに握り締めたり、ループににピッケルを刺すコンテニアスクライミングの方法(=輪どうし)があります。
「輪どうし」は使わないで下さい。「輪どうし」でパートナーの滑落を確実に止めることが出来る雪質は無いからです。二人がロープに繋がり、二人がそれぞれ手にループを持って歩くのは、オールシーズン、ロープの運搬の時のみです(確保の技術ではありません)。
流星法
その1、渡渉

◆バランスの良い若者を選んで一番手で行ってもらいます。
◆左岸(川下から見て右)から右岸(川下からみて左)に渡るとして、渡渉点の川上に頑丈な支点(支点A)を見つけます。
◆その支点にロープを固定し、一番手のハーネスの安全環付カラビナをそのロープ上をスライドするようにセットします。
◆ビレーは下流から行い(広い河原が良い)、一番手が流されたらビレーヤーより下流に行ってしまう前にハイスピードでロープをたぐって引き寄せます。もし、ビレーヤーより下流に行ったら人数得を集めて(3人以上?)でごぼう抜きします(2分の1システムの形になっている)。だから増水の川を行く時は人数が必要です。
右岸 ↓流れ↓

◆一番手が渡渉出来たら。一番手は右岸の相当に川下の支点Bまで行きます。ビレーヤーは左岸の支点Aに行きます。
◆一番手とビレーヤーで協力してロープを回転させて、ロープの両末端を左岸から右岸に移動させます(右岸から懸垂下降のロープ回収の要領でロープが回収出来るようにする)。
*この時にもう1本のロープを左岸に届けることが出来ます。
◆一1番手は支点Aと支点Bの間に2本のロープがピンと張られた形でフィックスします。・二番手以後はハーネスの安全環付カラビナをそのロープ上をスライドするようにセットし、上流から下流にスライドするようにして左岸から右岸に渡ります。
*必要に応じて二番手をもう一本のロープでビレーします。二番手が渡ったら滝を登る時のロープウェイ方式の要領で二番手が渡渉を始める時の状態までロープを戻します。
◆全員が渡り終えたら右岸から懸垂下降のロープ回収の要領でロープを回収します。出来るだけ上流に行って回収します(ロープが下流に流され、ひっかかるから)。
その2、荷物の運搬
川の対岸などに多量の荷物を渡す場合・・・張り渡したロープにカラビナをかけ荷物をつ
るします。さらに補助ロープを先のカラビナの左からと右から結び双方向に動かせるように
して荷物を運びます。

その3、軽い荷物の運搬

アブミが2台しかなくて、トップが登った後に使用したアブミをセカンドに送りたい場合・・・
トップは2本のロープを引いて登ります。1本はトップを確保するためのロープでランニングビレーのカラビナに通しながら進みます。もう1本は補助ロープで、ランニングビレーのカラビナに通しません(セカンドと何も介ずダイレクトにつながります)。
アブミのカラビナを補助ロープにかけ、補助ロープを滑らせてセカンドに届けます。その際、補助ロープのたるみを利用して、アブミの滑るスピードを調節します。アブミに限らず小物類はなんでも運搬出来ます。
その4、懸垂下降用ロープの引き寄せ

└Ytube39秒
Aが懸垂下降で滝の下に降り、続いてBが懸垂をしたくても、ロープの方向が変わるので、懸垂用のロープに簡単に近付けなくなることが予想される場合・・・
Aが懸垂する前に補助ロープ(orスリング)とカラビナを懸垂用のロープにかけておきます。
Aは滝の下に下り、「前進出来るか」と「ロープの回収が出来るか」の確認をしてから、Bにオーケーを出します。
Bは補助ロープを引いて懸垂ロープを引き寄せることが出来ます。補助ロープは最後に懸垂する者が回収します。
その5、ロープフィックス時における流星法方式
トラバースするようなルートであればブルージック結びでなくてカラビナをロープにかけてそれを腰のハーネスとスリングで連結し、ロープの通ったカラビナを引きずりながら、中間支点の所でカラビナをかけかえながら前進します(流星法方式)。
流星法方式の際にハーネスとロープをウサギの耳のように二本のスリングで連結して中間支点の所でカラビナを一つづつ掛け替えるとさら安全度が高まります(ラビット方式orフェラータ)。墜落すると水流の中に吊られそうな場合には腰のハーネスと連結するスリングは短いもの(60cm以下)にしておくなどの工夫が必要です。
最後の人(ラスト)はロープの末端と自分のハーネスを連結し、終了点の人の「ロープアップ」を待ちます。ロープが一杯になったら、終了点の人にビレーしてもらいながら、中間支点を回収(フォロー)しながら登ります。トラバースルートを行く場合、トップとラストでは落ちた時にロープに吊られる方向が異なるので、それを充分に計算して通過しなければなりません。
オポジションのセット
└Ytube2分24秒
ガースヒッチ(タイオフ)とハーフマストヒッチとフリクションヒッチを組み合わせて、オポジションをセットします。ビレーポイントを作る場合など両手がフリーになる場合は荷作りをする時などに使う普通のコマ結びを使うと頑丈です。オポジションは支点間を引き締める方向に引けるので、ナッツやキャメロットなどのカムデバイスだけでなく、わずかな凹部しかない岩の突起にスリングをかけで支点を作る時にも有効です。
3分の1吊り上げシステム応用オポジション

くわしくはこちらをごらん下さい。
ガースヒッチ応用オポジション

1、スリングの末端を

2、スリングの間を割って通し

3、続いてカラビナに通し

4、引き締めるとガッチリでは
ないがなんとか固定される。
右側の支点に2倍近い負担
がかかる問題がある。

5、スリングの末端が長く余って
いて、ロープ操作が容易な環
境であれば、行って返って(カ
ラビナリリーシングヒッチ)を施
したり、ハーフマストヒッチを繰
り返し施したりして強めに固定
する。

↑行って返って

↑ハーフマスト
コマ結び応用オポジション
まずはオポジションの完成形です。スリングの両末端に(片末端だとスリップドヒッチに変形してしまう)にカラビナをかけています。
*下の小さい方のナッツは岩への接点が不足しています。小さいナッツほど摩擦面が小さくなって外れやすいことを知っていて下さい。
上のナッツを下向きにセットします。つのナッツだけだとクライマーが上に登るに連れて外れてしまう可能性があります。
*この写真は左2点右1点が岩に接して正しくナッツがセット出来ています。
そこで、2つ目のナッツを1つ目の下で上向きにセットします。
*この写真は左1点右1点が岩に接していて接点不足で好ましくないセットです。
荷造りをする時などに使う普通のコマ結びできっちりしばります。靴紐の縛り方等を使いテンションがかかってもほどきやすくするとベターです。

横方向にナッツをかけてオポジションをセットした例です。右上方向に登ると良いです。
*右上方向に登る場合は写真のカラビナの向きは正しくないので、ゲートが左向きになるようにかけなおすこと!